ブログ
Blog~小さくつくって大きく暮らす。自分サイズの家づくり~
~小さくつくって大きく暮らす。自分サイズの家づくり~
家は小さければ小さい方が良いです。
まず単純に建設コストが下がる。
建った後からの冷暖房エネルギーや照明エネルギー消費量も下がり光熱費が下がる。
固定資産税も下がる。
土地も小さくて済むので、土地のコストも下がり、土地の税金も下がる。
将来のメンテナンス費用も下がる。
必要以上に面積にかかっていたお金を「建物の質=生活の質」にかけられる。
小さく建てる事にはデメリットが無く、メリットしかありません。
ただし、窮屈になってしまっては本末転倒です。
窮屈な家。ストレスのかかる家。住みづらい家。では、そもそも家を建てる意味が無くなってしまう。
なので、同じ満足、同じ住み心地、同じ暮らしやすさ、であれば小さければ小さい方が良いという事です。


そのために必要なのは、アイデアと創意工夫。これに尽きます。
そしてこれは私たち設計士にかかっていますので、私たち設計士は日々新しいデザインを考え、先人の知恵を学び、各種設計コンペなどでその考えが社会に適用するか確かめたりします。
皆さんは家ってどのくらいの面積が必要だと思いますか?
どこかで、部屋は6帖だとか8帖だとか、見た事聞いた事ある数字を鵜呑みにしていませんか?
だとしたら、作り手の都合にまんまと引っかかっています。
第二次世界大戦後、やっと人々に安息の時代がやってきて生活が安定し、急速に復興が進み経済成長を遂げていく過程で、家族が増え、ベビーブームが訪れ、
日本には家が足りなくなりました。
そこで画期的な家づくりが発案されました。
工場生産による大量生産型住宅、ハウスメーカーの誕生です。
第一号は、ダイワハウスによる3時間で組み立てられる勉強部屋「ミゼットハウス」で、建築学科の教科書にも出て来ます。
この頃の間取りは、DK+2部屋という間取りが多かったようです。
キッチンと食堂、主に来客時に居間として使う小さめの部屋、家族がみんなで寝るための少し大きめの部屋。
来客が多い時や親せきが集まったりした時は、2部屋つなげて大きな部屋にしました。
子供たちは個室を持たず、居間で宿題をしてみんなで寝ていましたが、兄弟が増え、生活も豊かになるにつれ子供にも個室が必要になってきて
登場したのが前述したミゼットハウスです。
お父さんが日曜大工で庭に数時間で組み立てたと言います。
この、プレファブリケーションの考え方が家全体にも広がり、「ダイワハウスA型」や「セキスイハウスA型」「松下1号(現パナホーム)」などが相次いで誕生しました。
この頃の住宅って、、、必要最小限だった気がします。
時代は拡大志向でしたが、一般市民の生活はまだまだ余裕があったわけではないですから、少ない面積を工夫して使っていました。
もっと前の時代ですが、「ちゃぶ台」なんかが良い例ですよね。
ちゃぶ台を置けばそこが食堂になり、居間になり、ちゃぶ台をしまって布団を敷けば寝室になった。
子供部屋が必要になれば簡易的に庭に離れをつくり、子供が社会人になって巣立って行った後は、壊すなり、茶室になるなり、お父さんの書斎になるなりと自由さと可変性がありました。
物が少ない時代、決して豊かではない時代だからこその「生活の知恵」があり、それがそのまま「エコなライフスタイル」になっていました。

なんか、今の時代と似ていると思いませんか??
時代はらせん状に繰り返す。と言いますが、今は物があふれる時代。世界経済大国第二位の豊かな時代を経て、成熟社会となり「豊かだけれど無駄に多くを求めない」「自分自身が人生の価値を決めれる」時代。
50年前のように、「生きるために工夫せざるを得なかった」のではなく、「気持ちに余裕を持って工夫できる」 なんとも恵まれた時代です。
こんな時代に、高度成長期の大きければ大きい方が良いだとか、大は小を兼ねるだとか、拡大志向の家づくりは、数百万円ものお金の無駄遣いです。
ぜひ設計士と一緒に、自分には何が大切か。自分に本当に必要なサイズはどのくらいか。
考えてみて下さい。
そうすればほとんどの場合、面積は小さくできます。

私が某有名ハウスメーカーに在籍していた頃そのハウスメーカーの家を200件くらい調べた結果では、私が個人で設計を受ければ2~3坪は簡単に減らせました。
その200件全てにおいて。
それも、生活に必要な面積は一切減らさず、無駄(広告に少しでも大きい面積で載せたいがための不要な空間)を省くだけで。
私はぜひ皆さんに少しでも合理的に効率良く家を建てて頂き、節約できたお金を、家の寿命を高められる素材を使ったり、断熱性能や耐震性能を上げたり、家の中の空気環境を良くする仕上げ材にしたり、一生モノの家具を造ったり、子供たちと出かけるための車を買ったり、、
毎日の暮らしを、皆さんの人生を、豊かにする事に使って欲しいです。

どうか皆さん、自分たちの価値観で、自分たちのライフスタイルで、自分たちなりの家を、一度きりの自分たちの人生のステージを、創り上げて下さいね。